障がい福祉計画の改定
障がい福祉計画は、新型コロナウイルス感染症対策の影響により、改定時期を1年先送りし、本年度改定作業を行っています。
計画期間は令和3年度から令和5年度までの3年間です。
障がい福祉計画は国の基本方針に則して作成することとされており、この指針による全国一律の取扱いとして3年間の計画となっています。
国では3年ごとにサービス提供の在り方の見直しを含めた障がい福祉サービスと報酬の改定を行っており、その内容を踏まえて作成する障がい福祉計画の期間についても報酬改定に合わせることが制度設計上重要だと説明しています。
◎これまでの主な見直し
《第4期》
新たに年1回成果目標等に対する実績を把握して、分析・評価を行い、その結果に基づいて計画の見直しを行ういわゆるPDCAサイクルの考え方を盛り込んだ
《第5期》
津久井やまゆり事件を受けた本県独自の見直しとして「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念の普及や津久井やまゆり園の再生を踏まえた今後の取組みを計画に反映させた
佐藤 「福祉施設入所者の地域生活への移行」についてこれまでの取組みと成果は
課長 相談支援専門員の数と質の充実を図り、グループホームの整備や専門人材の要請に取り組んだ
○取組み
・障害者本人が自らの意思で生活の場を決定できるような取り組みをする必要があるため、県ではこれまで意思決定支援の要となる相談支援専門員の数と質の向上・充実を図った
・施設に入所されている方が地域で暮らしていくための基盤整備が重要であることから、重度障がい者を受け入れることができるグループホームの整備、運営に対する支援や強度行動障がいや医療的ケアに対応できる人材の養成に取り組んだ
・障がい者に地域生活を今後の選択肢に加えてもらうようにするため、グループホームの体験利用の促進などにも取り組んだ
○成果(現行の第5期計画)
■地域生活への移行者数
《目標》
平成28年度末時点の施設入所者数4,899人のうち470人が令和2年度末までに地域生活へ移行
《実績》
175人の移行にとどまった
■施設入所者の減少数
《目標》
平成28年度末時点の施設入所者数4,899人のうち74人が令和2年度末までに減少
《実績》
154人減で現在4,745人となった
佐藤 地域生活への移行者数を増やすため、取り組みを強化する考えは
課長 受け入れる環境が十分ではない。グループホームへの支援や人材の養成に取り組む
地域での生活の場となるグループホームなどで重度障がい者を受け入れる環境が必ずしも十分に整備されているとは言えないため、グループホームへの支援や強度行動障がいに対応できる人材の養成に取り組むということです。
また、県立施設については通過型施設を目指していくなかで、入所者の地域生活への移行をさらに促進していく予定です。
私自身、重複した障がいをお持ちの方が施設に入れないとご相談を受けました。
様々なご事情から地域移行が難しい方もいらっしゃるため、把握に努めるよう求めました。
佐藤 「福祉施設利用者の一般就労への移行」についてこれまでの取組みと成果は
課長 障害者就業・生活支援センターを設置し相談を受けているほか、障害者雇用促進センターでは企業に対する支援をしている
○取組み
・「障害者就業・生活支援センター」を設置し、就業に伴う日常生活への支援を必要とする障がい者の方々に対して窓口での相談や職場や家庭訪問による生活面の支援等を実施するとともに、支援センターが中心となって、各障害福祉圏域における就労支援機関や教育機関等との連携体制を構築して支援の強化に取り組む
・「障害者雇用促進センター」を設置し、障がい者を雇用する企業への支援や雇用に関する情報提供を行うなど、障がい者雇用の促進に向け関係機関と連携しながら支援を行った
○成果(現行の第5期計画)
■福祉施設利用者の一般就労への移行
《目標》
令和2年度中に平成28年度実績の1.6倍にあたる1,794人の移行
《実績》
1.2~3倍の1,393人の移行にとどまった
■就労移行支援事業の利用者数
《目標》
令和2年度4,152人
《実績》
4,412人となった
※かながわ障がい者計画計画(わかりやすい版)
佐藤 当事者目線の福祉を掲げられる中で、相談やこまりごとは
課長 生活保護や障害年金に関する相談やコロナ禍での不安などを多く受けている
障害者就労支援センターで当事者の方の相談を受けています。
・生活保護の申請に関して関係機関と調整をしてほしい
・実際に窓口に同行してほしい
・障害年金の申請に関して調整してほしい
・通院に同行してほしい
といったご相談が多いということです。
コロナ関係では、
・在宅就労をするようになったり、休職しなくてはいけなくなり、そういった環境の変化で生活のリズムが崩れてしまった
・今までと違う働き方になってしまったので不安である
といったご相談を多く承っているということです。
「障がい福祉計画」における成果目標の達成に向けて、「福祉施設入所者の地域生活への移行」や「福祉施設利用者の一般就労への移行」については、目標の達成状況をみると、取組みが十分とは言えない状況です。
要因をしっかりと把握・分析し、計画反映に努めることを求めました。
介護事業所での介護ロボットの導入
※県HP介護ロボット・ICT普及推進の取組より
9月補正予算の中で、介護ロボット等の導入支援が計上されました。
当初予算の範囲でも、申し込みが多く反響が大きいようです。
介護ロボットにはさまざまな種類があります。
これまでの補助実績や申請状況からは、ベッドにセンサーを取り付けて、寝返りや起き上がりなどの状況を確認できる見守り系の介護ロボットの導入実績が最も多い状況です。
見守り系以外のロボットでは、利用者をベッドや車いすなどから移動させる際に身体に装着して腰の負担を軽減するなどのサポートを行う移乗支援やストレッチャーなどにより入浴をサポートする入浴支援、リハビリテーションや生活支援で活用するコミュニケーション系のロボットなども導入されています。
※厚労省資料より
佐藤 介護事業所に介護ロボット導入に対する関心を持っていただくため、県の取組みは
課長 公開事業所での取組みを通じて効果や活用事例を伝えたい
県は、介護・医療分野への介護ロボットの普及を図り、従事者の負担軽減、介護・医療サービスの質の向上等につなげるため
●平成24年度から
・社会福祉法人同塵会特別養護老人ホーム芙蓉苑(横浜市)
・医療法人社団成仁会長田病院(横浜市)
●平成28年度から
・社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス介護老人保健施設アゼリア(海老名市)
と協定を締結し、3施設を「公開事業所」と位置づけ、介護ロボットの活用現場を公開しています。
概ね年間300~500人の方が見学に来られ、令和2年度以降は新型コロナ対応のため公開を停止し、一部オンラインでの実施をしています。
動物や赤ちゃんの姿をしたセラピー的な癒し系ロボット等もあります。
これらのロボットをなでたり抱っこすることにより、利用者の動作や反応を促し、精神安定や意欲増進、認知症ケアにも効果を示しているとのことです。
佐藤 介護ロボットによる事故への対策は
課長 補助金申請の際適切な扱い方を職員間で共有するよう伝えているほか、今後は導入を実施した施設に直接お話をいただく機会を設けることや、活用現場を実際に見ていただく公開事業を通じて適切な使用方法を伝える
厚生労働省が初めて行った介護ロボット使用中の事故に関する調査では、事故だけではなく事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット」の件数が多かったようです。
交付が進む中で事故件数が増える懸念はありますが、人為的な理由も多いとのことから、しっかりと取り組むことを求めました。
※県の取組み資料より
佐藤 コロナ禍が続く中、介護ロボットの導入促進に向けどのように取り組んでいくのか
課長 オンラインを取り入れながら導入の効果等を積極的に提供していく
コロナ禍で対面での介護ロボットを直接体験するということが難しい状況が続いていくことが推測されるため、公開事業所の見学や介護ロボットの活用事例等を紹介するセミナーについてはオンラインを取り入れながら開催し、導入の効果や活用している施設の職員や利用者さんの生の声を伝える機会を積極的に提供することにより介護ロボットの導入を促進していくということです。
介護ロボットに期待をしています。
職員の負担軽減が図られることは大変重要ですが、業務効率化だけでなく、事故防止や利用者ニーズへの対応などについても引き続き取り組む必要があると感じました。
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