令和3年3月5日、国際文化観光・スポーツ常任委員会が開催され、主にスポーツ関係の質疑応答が行われました。
佐藤は「オンライン横浜マラソン」のほか、横浜スタジアムでの技術実証や県内の都市ボランティアに関して質疑を行いました。
※ライブ配信の様子。佐藤は一番左です。
①コロナ禍におけるスポーツイベントの開催状況
コロナ禍でもスポーツイベントを続けていくことを考えなければなりません。
そこで、県内・県外含めた主なスポーツイベントの開催状況を確認しました。
◎国民体育大会関東ブロック大会
国民体育大会の予選会にも位置付けられている関東ブロック大会。
関東1都6県に山梨県を加えた8都県が参加する大会で、スポーツを推進し地域住民の健康増進と体力向上を図るとともに、スポーツの交流を通じて各都県の親睦と友情を深め、地方部会の発展に寄与することを目的として、毎年各都県の持ち回りで開催している。
→アイスホッケー競技を除いた31競技が中止
今年度は神奈川県が当番県で、準備を進めてきたが、国体の本大会である鹿児島国体が延期されたことに伴い、12月開催のアイスホッケー競技をのぞいた31競技が中止となった。
◎アイスホッケー競技大会
【感染対策】
昨年12月に日本スポーツ協会が策定した「国民体育大会開催における新型コロナウイルス感染拡大防止に関する基本方針」に沿って、県の実行委員会において関東ブロック大会のガイドラインを作成し、感染防止対策を講じて実施しました。
●各試合は無観客で実施
●各都県の選手団の役員人数も最小限に抑えた
●開催前、期間中に新型コロナウイルス感染症の罹患、または疑わしい症状があった場合には参加の可否の判断基準を定めた
●監督や選手役員等の参加者は、現地入りの2週間前からの検温と行動履歴の提出を求めた
●当日の試合会場では、入退場時検温、手指消毒の徹底、選手や役員の行動範囲を指定
●接触や飲食を含むゾーニングの徹底、控室などの使用場所の消毒など現場スタッフの人数を増員して感染防止対策を実施
【運営面での課題】
チェックシートの提出や、ゾーニングの実施について、参加者からはわかりにくいとの意見があり、対策について事前に周知徹底することの難しさを感じた
【課題への対応】
●チームごとに入場時間を徹底
●換気場所を広く確保
●入場できる人数も制限
その結果、その後は滞りなく運営することができたとのことです。
◎国民体育大会冬季大会 スケート競技会・アイスホッケー競技会
→緊急事態宣言下の1月下旬に愛知県及び岐阜県で開催
【感染対策】
●全試合無観客での開催
●競技の全日程をライブ配信
●通常各県選手団が参加して行われている開始式の規模を縮小して開催
●各県選手団は試合時以外にホテルからの外出自粛
●参加者は全員「グローバルセーフティ」というスマートフォンの体調管理アプリを通して、2週間前から毎日の体温などを登録
→入場する際にはスマホのアプリ画面を係員に提示することで、スムーズに入場することができ、円滑な大会運営に向けた対策も実施した
→厳重な感染防止対策により、大会開催による感染者の発生はなく無事に終了した
◎県内の主なフルマラソン大会
●11/1に開催を予定していた横浜マラソン
→中止
●12/6に開催を予定していた湘南国際マラソン
→2/28に変更・開催種目も25㎞に短縮
→中止
その他県内市町のマラソン大会等も今年度そのほとんどが中止となりました。
◎オンライン横浜マラソン
横浜マラソン中止決定後、組織委員会ではオンラインでの開催を検討し、「オンライン横浜マラソン」と称して、昨年11月と12月の2回に分け、フルマラソン、ハーフマラソン、10キロの3種目を実施しました。
実施方法は、2週間という期間を設け、参加者がスマートフォンのGPSトレーニングアプリを利用して好きなコースを設定し、期間内に走った記録をアプリで登録することで目標距離の完走を目指すというものです。
オンラインマラソンの参加状は、2回、3種目の合計で約3,400名の参加者が集まり、コロナ禍においてもマラソンに対する関心の高さがうかがえます。
佐藤 参加者の満足度と県外からの参加者の状況は
課長 約80%の参加者が「満足・やや満足」 県外からの参加状況は調査していない
組織委員会では、実施後に完走者に対しメール配信によるインターネット調査を行い、オンライン横浜マラソンの満足度は、80%の参加者が「満足・やや満足」と回答しました。
また、「今後オンライン横浜マラソンに参加したいですか」という問いには、実に90%を超える参加者が「参加したい、どちらかというと参加したい」と回答しました。
このことを見ても、実際には集まって走れなくても、オンラインマラソンへの強い興味と関心があることがわかります。
また、県外からの参加者については、調査していないため属性はわからないとのことですが、前回通常の大会では参加者の約4割が県外の方という状況でした。
※観光かながわNOWより 「横浜港 大さん橋国際客船ターミナル」
佐藤 どのような効果を見込んでオンライン開催を決めたのか
課長 ランナーのモチベーションを継続していただく1つの試みとして開催
日ごろ取り組んでる運動は継続して行うことが大切であり、日ごろの成果が発揮できる場があることは走るためのモチベーションを高める意味でとても重要です。
参加者のアンケート結果からも多くの方々のマラソンへの関心が高いこと、オンラインマラソンであっても参加したいという需要が非常に高いということが推察できました。
コロナ禍で多くのマラソン大会が中止や延期を余儀なくされる中、組織委員会では次の年に開催する横浜マラソン2021につないでいくため、ランナーのモチベーションを継続していただく一つの試みとして新たにオンラインでの開催を実施したとのことです。
佐藤 県内の民間イベントと連携した未病分野を活かした事業はあるのか
課長 現在はなし。今後連携協力できるイベント等があれば検討していく
感染症対策を講じる中、GPSや体調を記録するためアプリが多く使用されています。
このようなアプリは体力やスポーツに関する調査や、デジタルを活用したスポーツ振興など今後さまざまな事業に展開することができると考えます。
また、マラソン大会の主催者と話す機会があり、その中で大会としてもデータベースを構築していくと伺いました。
大会の参加者に関する属性分析は、コロナ収束後の県内観光事業の活性化やスポーツツーリズムに寄与すると考えられるため、取り組みを求めました。
②横浜スタジアム技術実証
※横浜スタジアム(10月23日撮影)
県は、コロナ禍における大規模イベントの開催及びガイドライン改定に寄与するため、令和2年10月30日から11月1日に横浜スタジアムにおいて開催されたプロ野球公式戦(横浜DeNAベイスターズ対阪神タイガース)を対象に、十分な感染症対策を講じた上で、コロナ対策における大規模イベントの人数制限緩和の技術実証を民間事業者と横浜市と連携して実施しました。
東京2020大会では、実際に横浜スタジアムが野球・ソフトボールの会場となります。
そこで、人数の上限を緩和したかたちで技術実証を行うことによって、感染防止対策をしっかりコントロールしていくための方策などの知見を得ることを目的として行われました。
●技術実証の内容
(1)球場内着席時における感染リスクの検証
・スーパーコンピューターの活用による飛沫影響の検証
・高精細カメラ撮影画像を活用したマスク着用率の把握
(2)試合前後、球場周辺での人流発生における感染リスクの検証
・「LINEコロナお知らせシステム」を活用した行動把握・感染者が発生した場合の通知
・LINEBeaconを活用したトイレ等の混雑度計測及び混雑度閲覧
・バックスクリーンや場内アナウンスなどの告知を実施したうえでの、規制退場の実効性の検証
(3)感染者発生時の感染拡大を防止する包括的対策の構築
・新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」インストール率の把握と、促進のインセンティブ付与とその効果検証
検証結果(速報・暫定版)には、
・観客の入場時、感染時、退場時などの感染がおこりうる場面ごとに感染予防措置を行わなかった場合と行った場合との比較
・収容人員が50%以下の場合と、超えた場合との比較
・スタンド内や選手・関係者のエリア、球場の外などエリアごとにおける実証の結果
・観客の行動について確認された内容
・今回の技術実証で用いられた機器類の技術面の課題
などがあげられています。
中間的な報告の所見としては、検証結果をもとに感染リスクに対しさまざまな工夫の実施が可能であり、たとえ観客数が50%を超えた場合でも50%以下の場合と同等の感染予防対策の実現が可能ではないかという取りまとめが示されました。
この検証結果については、令和2年11月12日に国の新型コロナウイルス感染症対策分科会に報告されており、最終的な検証結果については、大規模イベント開催のガイドライン作成の際のエビデンスとして活用していくこととあわせて広く公表していく予定とのことです。
技術実証の後すぐに新型コロナの感染が再拡大したこともあり、状況が見通せずなかなか今の段階で結論を出し切れない部分もあると考えられますが、せっかく実施した技術実証について、スポーツを含めたイベント開催に向け、実際に有効に使えるよう他局と連携していただくことを求めました。
10月23日(金)より神奈川県と横浜DeNAベイスターズがタッグを組み、新型コロナウィルスと闘う医療・福祉従事者を応援するBLUE FRIDAYを実施しています。
③東京2020大会ボランティア
※県HPより
東京2020大会を安定的に運営するためには、ボランティアの役割は非常に大事であると考えます。
県内で活躍していただくボランティアには、組織委員会が募集した大会ボランティアと、横浜市及び藤沢市が募集した都市ボランティアがあります。
●大会ボランティア
【活動内容】
・表彰式におけるメダルや記念品授与の介添え
・大会関係者の会場移動の際の車の運転
・選手村での競技終了後メディアから取材を受ける際の通訳
【募集状況】
募集 8万名 → 応募 20万名
●都市ボランティア
【活動内容】
競技会場の最寄り駅や主要駅へ訪れる観客や旅行者に対し、おもてなしの心で大会に関する情報提供や交通案内・観光案内を行う
【募集状況】
横浜市 募集 2,500名 → 応募 5,800名
藤沢市 募集 900名 → 応募 3,000名
佐藤 県として都市ボランティア募集の取組みは
課長 県としての募集はなし 両市と連携し機運醸成図る
県は、横浜市がボランティアの登録を兼ねてクイーンズスクエア横浜で実施した募集開始のPRイベントに共催として参加したほか、藤沢市が市民会館で開催した選手やボランティアの経験者の方の体験談を語っていただくボランティアフォーラムにも共催で参加しました。
両市が募集した都市ボランティアには募集人員を大きく上回る応募をいただきましたが、これらのイベントがひとつのきっかけになり、機運の醸成が図れたと県としては考えているということです。
佐藤 大会が1年延期になったことによる都市ボランティアへの影響は
課長 両市とも1割程度の辞退者が出ている
大会が1年延期になり、ボランティアのみなさんのモチベーションや大会に対する意識の変化があると考えます。
横浜市・藤沢市の都市ボランティアの1割の方が辞退にいたった理由としては、1年延期になったことにより、都合がつかなくなったことをあげる方が多いとのことです。
東京2020大会に限らず、スポーツ大会はボランティアの方々に支えられています。
ボランティア精神はスポーツに欠かせないものであり、この精神を高める取り組みを県としてフォローすることを求めました。
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