2月24日に一般質問に登壇しました。
本年度本会議場で質問するのは、今回で3回目となります。
長引くコロナ禍、地元においても人と会う機会が減っています。
その中でも、伺った大事な声を元に地域活性化に向けた取組みや、神奈川の未来を守る取組みについて8問の質問をしました。
1 地域活性化に向けた取組について
(1)周遊性の向上による宮ヶ瀬湖周辺地域の活性化について
(2)アドベンチャーツーリズム等の推進について
(3)商店街の活性化について
(4)アスリートの活動を通じた地域スポーツの活性化について
(5)県立高等学校の特色化・魅力化につながる普通科改革について
2 神奈川の未来を守る取組について
(1)持続可能な農業に向けた優良農地の保全について
(2)多世代交流・多機能型の福祉拠点について
(3)子どもの未病対策について
今回のブログでは、「1 地域活性化に向けた取組」について詳細をお知らせします。
※「2 神奈川の未来を守る取組」についてはこちらから
1 地域活性化に向けた取組み
(1)周遊性の向上による宮ケ瀬湖周辺地域の活性化
宮ヶ瀬地域は丹沢からの流れる水が川に注がれるダム湖を中心に3拠点あります。
・クリスマスツリーで有名なもみの木や商店街がある「湖畔エリア」
・地元の農産物の直売所や展望台のある「鳥居原エリア」
・宮ヶ瀬ダム本体や、そこに隣接する県立あいかわ公園がある「ダムサイトエリア」
それぞれに魅力的な観光スポットが点在しています。
※政策局提供
近年宮ヶ瀬湖を訪れる観光客は数年前に比べて目に見えて減っており、加えてコロナ禍の影響を受け、大変心配しています。
またこれらの観光拠点をつなぐ、バス路線などの「あし」がないため、せっかく遠くから来ていただいても、複数の場所を回ることは難しいという問題があると以前から感じており、シュアサイクルの活用を始め、3拠点の周遊性に向上に向けて地元の方とも意見を交わしています。
こうした中、県の令和4年度当初予算案では、宮ヶ瀬湖周辺地域の観光拠点間の往来を促進し地域活性化を推進するため、AIオンデマンドバスによる実証実験を行うという事業があり、この周遊性という点に着目した県の試みに、強い期待を寄せています。
そこで、宮ヶ瀬湖周辺地域の周遊性の向上に向け、来年度、どのような実証実験を行い、そこで得られた成果を、どのように地域の活性化につなげていこうと考えているのか知事の見解を伺いました。
知事答弁
県は、これまで、良質な水資源を確保するとともに、水源地域を取り巻く良好な環境を次世代に引き継ぐため、水源地域の活性化に取り組んできました。
その結果、宮ヶ瀬湖にも多くの観光客が訪れるようになりましたが、この地域は鉄道駅から遠く、周辺の観光スポットを周遊する手段も限られていることから、魅力的な観光資源を十分に活かしきれないことが1つの課題となっています。
そこで、来年度、宮ヶ瀬湖周辺地域の周遊性を高めるため、宮ヶ瀬ダム周辺振興財団や地元市町村と連携し、「AIオンデマンドバス」による実証実験を行いたいと考えています。
※政策局提供
具体的には、周辺の主な観光拠点を結ぶルートを設定し、利用者からのスマートフォン等による「ここからここまで乗りたい」という「デマンド」要求に対し、「AI」人工知能が、即時に最適な乗り合わせや運行ルートを決定し、配車を指示します。
その際、同時に多数の乗車要求があるケースでは、よりバスの近くにいる方の乗車を優先させるなど、限られたバスの台数の中で、最も効率的な運行を確保していきます。
この実証実験を通じて、実際に要求に応え得るかなどを確認し、料金設定や採算可能性、サービスのあり方などを検討していきます。
そのうえで、地域の周遊性を高める交通システムの導入を交通事業者に促し、宮ヶ瀬湖周辺地域の活性化を図っていくとの答弁を得ました。
再質問
佐藤 地元としては宮ヶ瀬湖周辺のルートの検証は非常に関心が高い。ルート設定にあたっては地元の状況を熟知している市町村の意見が非常に大事だと思うが、知事の所見を伺う
知事 最も適切なルートや乗降ポイントを設定できるよう、ご指摘のとおり地元市町村の意見をしっかりと伺ってまいります
この宮ヶ瀬周辺では、愛川ソーラーパークや町が今現在検討している半原水源池の跡地活用などもあります。
実証実験ということで様々なルートが検証可能なのではないかと考えます。
地元市町村と連携協力し宮ヶ瀬地域の周遊性の向上につなげていっていただくことを求めました。
※その後、3月16日の予算委員会でもルートについて言及しました。
録画映像はこちら
(2)アドベンチャーツーリズム等の推進
圧倒的な感染力を持つオミクロン株の台頭により、明るい光が見え始めていた観光産業も、再び厳しい状況に直面しています。
新型コロナウイルス感染症の影響は、観光のあり方にも及んでおり、主要な観光地に多くの旅行者が訪れる従来型の観光から、旅行者の志向は、「少人数」、「マイカーで行ける場所」、「自然の中を楽しむ」等にシフトしています。
こうした中、観光庁では、自然・文化といった我が国の豊富な地域資源を観光コンテンツとして活用し、日本の本質を深く体験・体感できるアドベンチャーツーリズムを推進しています。
アドベンチャーツーリズムとは「自然」、「アクティビティ」、「文化体験」の3要素のうち2つ以上で構成される旅行を指します。
アドベンチャーツーリズムの旅行者は、旅行を通じて自分自身の変化や視野の拡大、学び等を得ることを目的としており、地域の個々の質の高いコンテンツや、旅行者それぞれの興味・関心に応じたテーマ・ストーリー性のある滞在プランなど、その地域ならではの体験を求めているのが特徴です。
※観光庁「アドベンチャーツーリズム 本質的課題解決への事例集」より
本県は、首都圏から近い立地の中に丹沢・箱根の山々から、相模湾などの海や川、ダム湖を有しており、愛川町・清川村も自然に恵まれたエリアを有しています。
ウィズコロナ時代において、観光においても密集を回避した旅行形態への変化が求められる中、アドベンチャーツーリズムは、密を避けつつ、自然・文化といった地域資源の活用を図るものであり、1人当たりの消費額が多く、海外での市場規模が非常に多いことから、国内外の観光客の消費額の増加や満足度の向上につながることが期待されます。
県では、新型コロナウイルス感染症の観光への影響について現時点でその全体像を把握できないことから、観光振興計画の見直しに係る検討を延期していますが、コロナの収束が見通せない中であっても、こうした旅行形態を検討するなど、すそ野が広く地域経済に大きな影響を与える観光産業を後押ししていくことが必要です。
そこでアドベンチャーツーリズムを含め、地域資源を活用した観光客の消費額増加や満足度向上につながる取組みを推進すべきと考え、知事に見解を伺いました。
知事答弁
本県は、首都圏にありながら、歴史的・文化的な地域資源だけでなく、丹沢の山々をはじめとした豊かな自然環境を有しており、アドベンチャーツーリズムを幅広く展開できる絶好の環境にあり、今後は、アドベンチャーツーリズムを一層推進していきたいと考えています。
具体的には、パラグライダー体験と近隣の酒蔵体験を組み合わせたコースなど、これまで発掘・磨き上げを行ってきた観光資源を活用した魅力的なアドベンチャーツーリズムのモデルコースを作成し、情報発信します。
また、観光客受入環境整備費補助金を拡充し、アドベンチャーツーリズムを含めた新たな観光コンテンツを開発する民間事業者の支援を行います。
さらに、コンテンツの魅力をより深く知りたいという観光客の気持ちにも応えられるよう、専門性の高いガイド人材の育成・認定にも取り組みます。
こうした取組により、本県が有する観光資源を活用し、観光客の満足度を高めるとともに、観光消費額の向上につなげ、地域経済の活性化を図っていくと前向きな答弁を得ました。
アドベンチャーツーリズムは、地域資源をより深く掘り起こすきっかけになります。
モデルコースの策定に取り組むという話もあり、県内の潜在力を、ぜひ掘り起こしていただきたいと思います。
また、北海道では昨年ウェブ上でアドベンチャーツーリズムのサミットが行われ、来年2023年に現地においてでも行われると聞いています。
県外、国外の動向もしっかりと情報収集に努めていただくことを求めました。
(3)商店街の活性化
商店街の多くは、大型店舗の進出や、インターネット普及に伴うオンラインショッピングの利用拡大など、様々な要因により活気がなくなり非常に厳しい環境にあります。
いまだ収束が見えない新型コロナウイルス感染症により、来街者の減少や各個店の売上減少など、多くの商店街は深刻な状況が続き、商連かながわの調査からも、商店街の景況感は厳しいものがあります。
※「現状の景況感」神奈川県商店街実態調査(アンケート)結果より
こうした中、県内商店街からは、冷え込んだ地域の商店街の再活性化を図っていきたいという声も聞かれるところです。
地元でも、地元のかつての名産品わさびなどを掘り起して商品化していこうと取り組んでいられる方がいらっしゃいます。
コロナ禍で遠方に行けない中、コロナ禍後を見据えて、地元ならではの、そこでしか味わえないものを作り出していくことも地域住民に地域の商店街を見直してもらうために非常に有効なのではないでしょうか。
※産業労働局提供
こうした新しい取組みをはじめ、商店街がその魅力を高め、来街者の増加を図る取組みは、地域経済の持続的な発展にもつながるものであることから、県として様々な側面から支援することが必要だと考えます。
そこで県内商店街の活性化に向け、県として、商店街をしっかり支えていく必要があると考え、今後どのように取り組んでいくのか知事に見解を伺いました。
知事答弁
商店街は日々の買い物の場であるとともに、地域コミュニティの核として重要な役割を果たしています。
しかし、多くの商店街ではコロナ禍において人手や売り上げが減少し、廃業する店舗も出るなど非常に厳しい状況にあります。
そのため、商店街の魅力を探し、賑わいを回復させ、落ち込んだ需要を喚起していくことが重要です。
そこで、これまでの取組みに加え、活動が停滞している小規模な商店街が再び活気を取り戻すための集客イベントなどを継続的に実施できるように専門家がその計画作成から実施まで手厚く支援していく事業を春に実施するほか、商店街がその認知度を高めるため自ら発掘した魅力ある商品、新たに開発した商品など地元の名産品として広くPRする取り組みを支援する事業を新たに実施したいと考えています。
このようにさまざまな支援策を総合的に行い、商店街のマグネット力を高め、活性化を図ることでまちの賑わいを取り戻し、地域経済の持続的な発展に繋げていくとの答弁でした。
地元では地域の活性化に関する会議をされたり、新しく資源を探ろうとそういうご相談も頂いています。
今年の新事業として、より多くの商店街などで取り組まれるように周知にしっかりと取り組むことを求めました。
(4)アスリートの活動を通じた地域スポーツの活性化
一昨年から続く新型コロナウイルス感染症のまん延により、多くのスポーツイベントが中止を余儀なくされましたが、昨年から、感染防止対策に万全を図りながら、スポーツイベントが再開されています。
昨年の夏には東京2020大会が開催され、直近でも北京で冬季オリンピックが開催されました。私も夢中になって応援し、選手たちの活躍に感動をもらい、本県ゆかりの選手も含め、日本代表選手が大いに活躍し、日本中がメダルラッシュに沸きました。
スポーツの素晴らしさを再認識したところです。
一方で、地域におけるスポーツ活動は、まだまだ様々な制限を受けており、地域や種目によっては2年以上もコロナ以前のような活動ができていない状況もあり、今後はこうした状況から一歩でも前進し、日常にスポーツを取り戻していくことが必要です。
そうした中、例えばオリンピックなどで活躍したアスリート達が自身の体験を伝えたり、直接指導できるような機会を設けることができれば、スポーツを身近に感じ、関心を一層高めていくうえでも非常に有効と考えます。
本県には、トップアスリートとして活躍した方々が結集して社会貢献を目指す「かながわアスリートネットワーク」という団体があります。
そうした方々の協力もいただきながら、地域でのスポーツが活発になっていけば、県のスポーツ推進にも大きな力となると考えます。
そこで、オリンピックやパラリンピックなどで活躍したようなトップアスリートたちの経験を地域スポーツの活性化につなげていくために、県としてどのように取り組んでいくのか、スポーツ局長に見解を伺いました。
スポーツ局長答弁
東京2020大会で大いに盛り上がった機運を継承していくため、オリンピックやパラリンピックをはじめ、様々なスポーツ大会で活躍されたアスリートの方々と一緒に取組を進める事は大きな意義があると思っています。
県では、これまでも、JOCと連携して、オリンピックで活躍したアスリートを中学校に派遣するオリンピック教室を実施してきました。
このオリンピック教室については、アスリートの貴重な経験に触れながらオリンピック精神を学ぶ機会として好評であることから、来年度以降も継続していきたいと考えています。
※愛川町立中原中学校で開催されたオリンピック教室の様子
また県では、平成20年に創設された「かながわアスリートネットワーク」の皆さんの協力をいただきながら、各種イベント等へのアスリート派遣を行ってきましたが、コロナ禍によりイベント開催が制限され、アスリートの皆さんと直接触れ合う場や、PRの機会を設けられない状況が続いてきました。
来年度は、これまでの取組に加え、東京2020大会のレガシーとして、アスリートネットワークの方々にも御協力いただき、子どもたちをはじめとした多くの方々に競技の魅力やスポーツの価値を伝えるイベントの実施を検討しており、スポーツのある日常を取り戻すきっかけにしたいと考えています。
オリンピアン・パラリンピアンをはじめとするアスリートの皆さんの存在は県民にとって大きな価値であり、その貴重な経験を県民の皆様と共有できるよう、アスリートの皆さんとの連携のもと、地域におけるスポーツの活性化に繋げていくとの答弁でした。
地域でのスポーツ環境は非常に厳しいものがあると感じています。
地域スポーツの指導者が不足することや部活の地域移行の受け皿の課題など、スポーツのあり方の変化が求められる中、今ある仕組みとして、「かながわアスリートネットワーク」の取組みは非常に重要です。
また、新たにオリンピック・パラリンピックの種目となった、もしくはこれからなるような競技のアスリートにも加入していただくなど、他にも一般的になかなか知る機会が少ない競技のプロフェッショナルに入っていただくなどもできると考えます。
アプローチの面では学校だけではなく、自治会の活動にも広報を行っていただく事も可能です。
さまざまな競技が出てくる中で、このようなところから地域固有のスポーツとして育つ可能性があると考えます。取組みを求めました。
(5)県立高等学校の特色化・魅力化につながる普通科改革
本県の高校等への進学率は99%に達し、今日では、中学校を卒業したほぼ全ての生徒が進学する教育機関となっており、高校進学者の8割以上が普通科に在籍しています。
私の地元の愛川高校も普通科高校であり、地域学校協働本部やコミュニティスクールの取組み、また、愛川町立中学校との連携型中高一貫教育校として地域密着型の教育活動の展開など、地域とのつながりを重視し、様々、取組を行っていただいています。
一方で、地元の皆様からは、学校の特色をもっと出して、生徒に選ばれるようになり、愛川町の中学生がもっと愛川高校に入学し、地域を盛り上げて欲しいという声をよく聞きます。
近年は、私立高校に入学する中学生が増え、さらに、広域通信制の高校に入学する生徒も増えてきています。
こうした学校が特色や魅力を打ちだしている中、県立高校の普通科も中学生により選ばれるためにも一層の特色づくり、魅力づくりが必要と考えます。
こうした中、昨年1月、中央教育審議会から「『令和の日本型学校教育』の構築を目指す趣旨の答申が出されました。
その中で、高校生の学習意欲を喚起し可能性及び能力を最大限に伸長するため、設置者の判断で、特色・魅力ある教育内容に弾力的に取り組むことができるとする普通科改革などが示されました。
それを受け、文部科学省は、昨年3月、高等学校設置基準等を改正し、普通教育を主とする学科として、普通科以外の学科を設置可能とし、そこでは、現在及び将来の地域社会が有する課題や魅力に着目した実践的な特色・魅力ある学びに取り組む地域社会に関する学科等が示されました。
特に、地域社会に関する学科は、高等学校が立地する地元市町村を中心とする地域社会が抱える諸課題に対応し、地域や社会の将来を担う人材の育成を図るものであり、地域社会と連携・協働して取り組んでいくことで、高等学校の特色化・魅力化につながるとともに、地域活性化にも資するものと考えます。
そこで、普通科改革で設置可能となった地域社会に関する学科を、今後、県立高校に設置することについて県立高校改革担当局長に見解を伺いました。
県立高校改革担当局長答弁
県教育委員会では、現在、平成28年に策定した、「県立高校改革実施計画」に基づき、県立高校の特色化・魅力化につながる取組みとして、豊かな表現力などを育成する舞台芸術科や、グローバル化に対応した国際バカロレア認定校など、新たな学科やコースを設置してきました。
また、学校が地域づくりの核としての機能を有するとの認識のもと、全ての県立高校で、コミュニティ・スクールを導入し、地域に開かれ、地域とともにある学校づくりに取り組んでいます。
そうした中、普通科改革に関する中央教育審議会の答申により、学校設置者の判断で地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科の設置が新たに可能となりました。
この学科は、地域社会が有する課題や魅力に着目した実践的な学びに取り組む学科であり、地域社会の将来を担う人材の育成などが期待されています。
一方で、この地域社会に関する学科を設置する場合には、
・中学生にどの程度のニーズがあるのか
・地元自治体や関係団体からの協力が十分に得られるのか
・学科卒業後の活躍の場があるのか
など、様々な課題があります。
県教育委員会としては、こうした点も踏まえ、地域社会に関する学科の設置の是非も含め、今後の県立高校改革の中で、検討するとの答弁でした。
今回は学科の編成の視点で質疑をしましたが、県立高校の魅力化というのはこの限りではないと感じています。
他の都道府県では、ユニークな学科が新設されるということも聞いています。
こうした取組等も研究を行い、来る県立高校改革に向け、市町村や地域の声も聞きつつ、県内での展開につなげていくことを求めました。
一般質問の様子は、県HPから録画映像をご覧いただけます。
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