第3回定例会中に開催された国際文化観光・スポーツ常任委員会について、質疑内容をお知らせします。
★常任委員会資料はこちら
●地元かながわ再発見事業
令和2年10月から、
・新型コロナの拡大により深刻な影響を受けた観光事業者を支援する
・県民の皆様が地元・神奈川県の魅力を再発見する契機とする
ことを目的に、県民限定で県内旅行の割引を行うキャンペーンを実施しました。
割引の詳細は次のとおりです。
佐藤は前回6月の本委員会において、著名ではないところへの観光など、地域の偏在が起きないよう配慮することを強く求めておりました。
今回の事業では、宿泊だけでなく日帰り旅行も対象とした点や、「定番エリア」と「再発見エリア」で割引額を変えることにより、一定の配慮が見られました。
★前回の質疑内容はこちら
なお、現在この事業は、新型コロナの感染拡大により、新規販売の一時停止等の取扱いとなっています。
※1/8追加
緊急事態宣言が発令されたことを受け、割引の適用停止期間を延長することになりました。
1 新たに割引の適用停止となる旅行
令和3年1月12日0時から令和3年2月7日までの間を日程に含む旅行
2 キャンセル料の取扱い
予約済みの旅行は令和3年1月17日24時までの間無料でキャンセル可能です。
キャンセルを受けた事業者に対し、旅行代金の35%(上限:宿泊旅行14,000円/人泊、日帰り旅行7,000円/人)を本事業の予算の範囲内で、県が負担します。(国のGoToトラベル事業の割引を併用している場合を除く)
質疑内容は次のとおりです。
佐藤 宿泊料金が安い施設が恩恵を受けられないとの報道があるが、県の認識は?
答弁 再発見エリアでは別途特例を設けている
この再発見事業による県民の割引については、宿泊料金が高いホテルなどには集中する傾向があり、宿泊料金が割と安い施設に関しては恩恵を受けられないといった報道等がありますが、県の認識を伺いました。
本事業における宿泊旅行については、宿泊料金が5,000円以上になると割引が発生します。
そのため5,000円未満の低価格帯の商品に支援が行き届かなくなってしまうことから、再発見エリアでは別途特例を設けています。
例えば1棟当たり幾ら、1室当たり幾らという形で、何人で利用しても金額が変わらないような低価格の価格設定をしている場合には、金額を人数で割ると1人当たり5,000円を下回っていても、全体の金額が1万円以上であれば5,000円の割引を受けられるような仕組みを設けることで低価格帯も支援できるようにしているとのことです。
佐藤 修学旅行のキャンセルが相次いでいる。日帰り旅行を生徒が利用できるか?
答弁 適用できる
コロナ禍により修学旅行のキャンセルが相次いでいると聞いており、生徒たちが県内の日帰り旅行を利用できるのか伺うと、修学旅行も適用できますが、私立の学校で生徒が県外在住の場合は適用にならないケースもあるとのことでした。
佐藤 県内周遊の観点から、どのような効果を期待しているか
答弁 他県の先行事例を踏まえ、すべての旅行関係者に支援が行き渡るよう制度設計した
群馬県がすでに6月から7月に県民割を実施し、県民の県内周遊としての効果は上がっている報道されていました。県内周遊という意味で、県としてもどのような効果を期待をしているか伺ったところ、例えば、
茨城県「いばらき応援割」→宿泊施設に直接予約した場合でないと適用できない
栃木県「栃木県民一家族一旅行キャンペーン」→宿泊施設に直接予約はNG
など県により方法が分かれているとのことです。
県としては幅広い全ての旅行関係者に支援が行き渡るような仕組みにしたいと考え、上記のような先行事例も踏まえて、今回の制度設計となりました。
本事業は、県内収入の新規材料となることが期待されるため、感染防止を含めて取り組むことを求めました。
一方で、恩恵が行き渡らないことも出てくることが懸念されるため、各市町村や観光協会の状況を確認しながら、今後につながる材料としてしっかり情報を集めていただくことを求めました。
●観光魅力創造協議会検証分科会の検証の結果について
県は、ラグビーワールドカップ2019TM及び東京2020大会を契機に国内外の観光客を県内に誘致するため、平成28年6月に神奈川県観光魅力創造協議会を設置し、観光資源の発掘・ 磨き上げや周遊ツアーの企画・商品化に取り組んできました。
令和元年7月に目標である1,000通りのツアーを達成し、観光コンテ ンツと併せて外国語観光情報ウェブサイト「Tokyo Day Trip」等を通 じてプロモーションに取り組むとともに、ラグビーワールドカップ開催期間中の県内観光客の状況について、観光庁の統計調査や県内の観光コンテンツへのヒアリング等による調査・分析を行いました。
佐藤 1,000通りのツアーとされているが、今後どうなっていくのか
答弁 9月現在累計1,124コースとなった。今後も随時見直しを図っていく
昨今、個人旅行の増加やリピーターの増加に伴い、国内外からの観光客の多様なニーズに対応できるよう、周遊ルートの目標を1,000と定めました。
モデルコースについては、県及び市町村観光協会、観光事業者などから情報をいただくことで観光資源を発掘し、それらを外国人有識者などが参加して評価いただく「インバウンド出前セミナー」などで磨き上げを行い、この支援を活用して作成するほか、それ以外にも鉄道事業者やボランティア団体などが作成したものや旅行会社が既に商品化したものも募っています。
1,000通りのツアーについては、昨年7月に目標の1,000本を達成することができました。
その後も県内では、例えば横浜のハンマーヘッドの開業など、新しい観光施設ができており、それらを活用したモデルルートを新たに作成することも必要であると考え事業を継続し、9月現在累計で1,124コースとなっているとのことです。
また、過去に新たに作成したコースのうち265コースを新たに修正しました。
今後もこれらのツアーについて旅行会社による商品化の促進を図り、観光客にも一層利用いただけるように随時見直しを図ることで、ツアーの鮮度、最新の情報を発信していくとのことです。
佐藤 TokyoDayTripに掲載されているが、観光かながわNOWと連携する考えは
答弁 観光かながわNOWに転用したものもあるが不十分。充実を図っていく
この事業の主なツアーは「TokyoDayTrip」に掲載されています。
先に触れた再発見事業と絡め、「観光かながわNOW」お勧め周遊コースなどで、モデルルートの紹介を兼ねるといいと思い考えを伺いました。
観光かながわNOWに掲載している周遊コースは、数が限られており観光PRとしては不十分であるため、今後1,000通りのツアーの活用なども検討しながら、記載内容を充実させていくとのことでした。
佐藤 観光客の消費動向等調査について、地元団体と課題をどう共有し対策しているのか
答弁 担当者会議で市町村に説明。報告書を送付し観光協会等にも情報提供を依頼
消費動向等調査については、昨年度から地域別の分析報告書を作成することとし、令和2年2月に神奈川県観光振興対策協議会の担当者会議で各市町村にその案について説明しています。その後、3月には各市町村へ地域別分析報告書の確定版を送付し、市町の観光協会等にも情報提供するように依頼したとのことです。
宮ケ瀬の周辺では、宮ケ瀬湖の周辺地域観光客消費動向等調査を行っており、この調査の担当課と観光企画課で連携は取れているのか確認したところ、宮ケ瀬湖周辺地域に限定した観光客消費動向等調査については、宮ケ瀬周辺地域の活性化事業の参考とするために、観光企画課で行っている調査を参考として別途調査を行ったとのことです。
観光企画課の調査は、県全域で20地点程度の調査を行うもので、そのうち宮ケ瀬湖地域は1地点のみの調査となっていますが、より詳細な状況を把握するために別途5地点で調査を行ったそうです。
調査内容は県ホームページで公開するとともに各地域県政総合センターに個別に送付して共有を図っています。
新型コロナの影響もあり、観光の流れやトレンドが変わってきており、調査にも影響が出てくると考えられます。
今、地元でもかなり車での来訪が非常に多くなってきていると感じており、それは新東名の開通や地元での新たなニーズによるものであることから、情報共有を求めました。
また、新しい需要の喚起については、地元で話を伺うと使える資源の見直しや湖面の利用における規制の緩和なども必要であると感じます。
事業者の方が需要をつかみたいと思っても、情報網を持っていなかったり、規制があるためにチャレンジできないということも聞いています。
やはり消費の動向調査などの情報共有は、是非していただきたいと述べました。
佐藤 宮ケ瀬地域の活性化において、連携の状況は
答弁 観光企画課・政策局・財団と連携し今後も取り組んでいく
宮ケ瀬地域では、やまなみルートの活用や宮ケ瀬地域の3拠点の周遊性を高めることなどの課題があります。
本事業のモデルルートの活用や、観光課で把握しているシェアサイクルなどの知見など、各セクションが連携するべきだと考えており、今と今後の状況を確認しました。
宮ケ瀬地域については、政策局が宮ケ瀬ダム周辺振興財団などと連携して地域活性化の取組を行っていますが、そこで発掘、磨き上げをした観光資源については、観光企画課において1,000通りのツアーに組み込むとともに、観光客向けウェブサイトの観光かながわNOWやTokyoDayTrip等で情報を発信しています。
まだ、政策局では令和2年度中に次期水源地域交流の里づくり計画の策定を予定していますが、その検討委員会に観光企画課長も事務局として参加するなど、さまざまな分野で今後も連携して取り組んでいくとのことです。
「新しい需要の喚起」の観点を県としてつかみ、今後の観光施策につなげていただくことを求めました。
●外国籍県民かながわ会議とかながわ国際政策推進懇話会の連携について
現在神奈川県には約22万人の外国籍県民がおり、このコロナ禍において外国籍県民の県政への参加が重要です。
県では、学識者、民間団体、市町村、NPO等で構成され、県の国際政策を議論する「かながわ国際政策推進懇話会」があり、本年は新型コロナ感染拡大の状況を踏まえ、4月に書面会議、8月にはオンライン会議システムを併用した会議を実施しています。
一方で、外国籍県民の方々が県政に提言を行う「外国籍県民かながわ会議」は、一般公募により新たな委員を選定しましたが、新型コロナ感染拡大の状況を踏まえ、再開を延期していました。10月11日からオンライン会議システムにより会議を再開しています。
かながわ国際政策推進懇話会の議論の詳細は次のとおりです。
4月《書面会議》
●新型コロナウイルス感染症の状況変化に伴う外国籍県民支援の必要性について
●多文化共生の地域社会づくりとして、日本語教育や外国につながりのある子供たちの教育等の充実等について
8月
●日本語教育推進法に基づく国の基本方針が本年6月に閣議決定されたことを踏まえた今後の日本語教育等について
【主な意見】
・国の法律で日本語教育という枠組みが「教育」となっているが、学ぶ側の視点での学習という言葉の使い方が必要ではないか
・外国人当事者や支援者だけでなく、一般県民が易しい日本語を理解するなどのサポートが重要
・対面だけでなくICTも活用した授業も検討する必要がある 等
佐藤 今年度から両会議を連携するとのことだが、どのように行うのか
答弁 懇話会委員が外国籍県民会議へ助言を行うほか、両会議の合同会議なども想定
外国籍県民かながわ会議については、外国籍県民のみで構成され、自主的な運営が特色となっています。
一方で、委員の意識統一や意識共有に時間がかかってきたという面があります。
そこで、かながわ国際政策推進懇話会の有識者等の委員が、外国籍県民会議のサポート役となりまして、県に提言すべき内容を選定、集約する際に助言をすることで、意識統一、意識共有を効率的に図れるようにするほか、コーディネーター役の外国籍県民かながわ会議の委員長、また副委員長とともに連携するなど、委員の自主的な会議の運営をサポートすることでモチベーションの維持にもつなげていきたいと考えているとのことです。
また、具体的な連携としては、外国籍県民会議からの要請に応じ、懇話会委員が外国籍県民会議への出席またはメール等による助言を行うほか、両会議の合同会議なども想定をしており、両者密接に連携をしていくとのことです。
これまで両者が一堂に会してこなかったことは、少し遅いと感じます。
このコロナ禍の状況においても、県に暮らす外国籍県民の当事者としての意見を聴取する場としても重要です。
活発な議論を県政に活かせるように求めました。
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