第3回定例会中に開催された子ども・子育て・高齢社会対策特別委員会について、質疑内容をお知らせします。
★特別委員会資料はこちら
●社会教育施設の取り組みについて
佐藤は12月の一般質問において「社会教育施設等を活用した感染症の歴史等の周知」について質問したところ、「令和3年2月に感染症に関する展示を行う」との答弁があり、その詳細について質疑しました。
県立図書館と県立の公文書館が合同で、過去に感染症が流行したそのときどきの新聞記事等をデジタル化した資料や関連する図書を、ウェブ上で展示をする予定とのことです。
内容は、
●明治35年ごろから県内で流行したペストを紹介する資料
・「神奈川県ペスト流行史」(明治43年に神奈川県警察が作成)
●大正7年ごろに流行したインフルエンザの一つ「スペイン風邪」に関する資料
・「はやり風邪の気をつけ方」(三浦郡役所が作成)
●疫病退散を願って奉納しました湯河原の鹿島踊りに関する資料
・奉納時の写真を紹介する
などを行う予定です。
佐藤 県立図書館と公文書館が合同や共同で展示を行うことはよくあるのか?
答弁 年1回程度行っている
平成27年
県立の歴史博物館と金沢文庫、東京の国立博物館、藤沢市遊行寺の宝物館の4館で、国宝の一遍聖絵を共同で展示開催
平成28年
県立の歴史博物館と生命の星・地球博物館が共同で、「かながわの歴史を彩った石の文化 石展」を開催
佐藤 WEB展示は具体的にどのように行うのか?
答弁 HPにリンクを貼り閲覧できるようにする予定
県立の公文書館のHPにデジタル化した資料を展示公開し、県立図書館のHPにリンクを貼ることにより双方のHPから閲覧することができるようにする予定とのことです。
具体的には先ほどの資料に加え、与謝野晶子がスペイン風邪に関することを寄稿した「横浜貿易新報」や、戸塚区八坂神社の祭典の様子を記載した郷土誌など、当時の様子が記載された公文書や新聞、写真などをデジタル化し、公開をする予定です。
ぜひ幅広く展示することを求めました。
佐藤 県立社会教育施設が所蔵する資料のデジタル化の状況は
答弁 各館が著作権を所有するものや著作権自体が消滅しているものから行っている
社会教育施設6館のうち、各館が著作権を所有するものや、もう既に著作権自体が消滅しているものの中からデジタル化を行っています。
例えば、県立図書館では、神奈川県内の古今の姿が分かる浮世絵とか古地図を公開した神奈川デジタルアーカイブを作成しているほか、近代美術館では、所蔵する洋画や日本画、彫刻、版画などの作品をデジタル化しています。
また、新型コロナウイルスの感染拡大により、臨時休館をしていた今年の4月から「おうちでミュージアム&ライブラリー」として、各館がそれぞれウェブで行っているコンテンツを集めたものを、県教育委員会のホームページで発信しています。
佐藤 図書館の蔵書のデータをPC等に送る著作権法の改正について県の認識は
答弁 文化庁の文化審議会で検討されており、県としても国の動向を注視
現在国の文化審議会で、図書館の蔵書のデータをPCやスマホに送る著作権法の改正について検討されているという新聞報道がありました。
県教育委員会では今後国の動向を注視しながら、必要に応じて検討していくとのことです。
借りたい図書がなく、国立公文書館から印刷したものを郵送したという自身の経験からも、デジタル化が進むことを期待しています。
佐藤 デジタル化した資料をWEB上で展示し、閲覧者を入館者としてカウントする考えは
答弁 文化庁の文化審議会で検討されており、県としても国の動向を注視
「県立社会教育施設の入館者数」の推移を見ると入館者が伸び悩んでいるように見えます。
(資料p.21)
また、今後はコロナ禍の中で来館を躊躇する方も多くなることも想定されます。
そこで、デジタル化した資料を活用してWEB上で展示を行い、閲覧した方を入館者としてカウントする考えを伺いました。
現在施設で運用しているWEBシステムはカウントできない形になっていますが、今後システムを更新する際にそのような仕組みを作ることや、またそれらを入館者数に含めるかについても今後検討していくとのことです。
今後はデジタル化がスタンダードになってくることに加え、今後の分析にも利用できるものだと考えます。システムの課題がありますが、検討は進めることを求めました。
佐藤 他県との施設の差別化をどう図るのか。また、他県からの来訪者の呼び込みは?
答弁 神奈川ゆかりのものを展示し差別化し、貴重な資料展示により多くの利用を図る
他県にも多くの社会教育施設がある中で、差別化を図って入館者を増やしていく必要があると考えます。
県では、神奈川県の資料や神奈川ゆかりのものを収集し公開・展示することで差別化を図っており、それが社会教育施設の強みでもあります。
貴重な資料を展示公開したり、多くの人に関心を持ってもらえる取組みにより、多くの利用を促すとのことです。
コロナ禍で、スペイン風邪に関する著書を読み、その著書をきっかけに、感染症に対する意識啓発や過去の資料を基に県民と共有する必要性を感じ、問題提起をしました。
過去の資料を見る、そして支える手段として、今、デジタル化を進めていただき、学生そして県民の方、県外、海外の方にも見ていただきたいと考えます。
また、研究の対象となるような資料の収集も大事な視点だと考えています。
本県は、コロナ禍の当初から、ダイヤモンド・プリンセス号に真っ先に対応した県ということもあり、今後歴史の検証を多く受けるであろうと思います。
ぜひ長い目でこの歴史の周知を図っていただくことを求めました。
●地域包括ケアシステムにおける市町村支援について
★「地域包括ケアシステム」とは
「地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制をいう。」とされています。
地域包括ケアシステムが目指す方向性の1つとして、社会福祉法の改正により、令和3年4月から、市町村が、地域住民に高齢・障害・子育て・生活困窮など、分野を問わず対応し、包括的に支援を行う重層的支援体制整備事業を実施できるようになることから、同事業を実施する市町村を支援する必要があります。(資料p.6)
そこで、次のとおり質疑しました。
佐藤 重層的支援体制整備事業について、何がどう変わるのか?
答弁 これまで個別に措置されていた法律を社会福祉法に一旦集め、一括した執行を図る
佐藤 取り組む市町村は少ないことが見込まれるがなぜか?
答弁 各分野でセクションが分かれ、まだガイドラインも示されていないため様子見か
市町村にとってこの事業は、高齢・障害・子育て・生活困窮など各分野の事業を一括して行うことができ、柔軟な対応ができるというメリットがある一方で、現状は各分野ごとに担当セクションが分かれていることが多く、これを包括的な対応に変えていくのか検討する期間が必要であるほか、国のガイドラインが示されていないことなどから、市町村の動きは慎重になっています。
佐藤 町村などの規模が小さい自治体にとっては実施しやすいと考えるがどうか
答弁 一概には言えない。地域の実情にあた方法を一緒に検討したい。
小さい自治体であれば、例えば、福祉課というセクションの中で高齢も障害も子育てもすべて対応しているというような状況があり、そういった意味では、包括的な支援体制をつくりやすいという部分はあります。
一方で、規模の小さい自治体の場合、「そもそもマンパワーが不足している」、「あらゆ
る分野に精通した知識を持っている人材が少ない」といったこともあり、新たな取組みに対応する余力がない実情もあるため、一概に規模の大きい小さいということだけで、こうした新しい重層的支援に対しての整備をしやすいしにくいということは言えません。
それぞれの地域の実情に合ったやりやすい方法を、これから県も一緒に検討していくとのことです。
佐藤 本事業を実施することでどのような効果が見込まれるのか
答弁 モデル事業を実施したところ、連携がスムーズになったとの意見があった
本事業は、これまで全国でモデル事業が実施されてきました。国の資料によると
《メリット》
・いろんな分野にまたがるそれぞれの専門部署の間で連携がスムーズにいくようになった
・これまで対応できなかったようなケースに対応できるようになった
・職員自身の意識が改革されて意識が高まったと
《デメリット》
・解決するまでに時間がかかるケースを抱えることが多くなり、職員の負担がこれまで以上に増した
といった現象も生じているということです。
佐藤 市町村の現状からして県としてのバックアップする必要性を感じるが今後の取組みは
答弁 人材育成や先行事例の共有などを通じ市町村を後押ししていきたい
複雑化・複合化した社会問題がたくさん顕在化してきています。
こうした課題に対して、県としては住民に身近な場所にある市町村の職員が対応することが、一番効果的であると捉えています。
一方で、こうした市町村に対しまして、国や県はしっかりとバックアップをしていくということも、今回の社会福祉法改正の中に盛り込まれています。
県では今後、本事業に取り組む市町村に対し、人材の育成あるいは先行する取組事例の共有などを通じて、後押ししていくとのことです。
県としてのまだ実績はまだ出ていない中ではありますが、ぜひ積極的に市町村に寄
り添い、事情を伺いながら進めることを求めました。
また、サポートできるところとして、研修などにより市町村の全体的な底上げに取り組むことを求めました。
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