令和2年3月5日に環境農政常任委員会が開催され、質疑を行いました。
前半の質疑内容をお知らせします。
1 森林環境譲与税における市町村の支援の取組みについて
昨年4月から、地球温暖化防止対策や災害防止の観点から、「森林環境譲与税」の取組みが始まりました。県では、6月補正予算を計上し、市町村が譲与税を活用して行う森林整備や木材利用等への支援を行っています。令和元年8月1日には、市町村に対する林政支援業務を神奈川県森林協会に委託し、同協会に「かながわ市町村林政サポートセンター」が設立されました。
※神奈川県森林協会 緑の斜面68号から引用
そこで、サポートセンターとしての取組みや市町村からの相談内容と対応について質疑しました。
サポートセンターでは8月から11月にかけて県内すべての市町村を巡回し、課題要望を聞き取り、現場指導など必要な助言指導を行ったとの答弁でした。
市町村から寄せられた要望としては、鎌倉市から、市が管理する緑地をどのように整備したらいいかとの相談があったため、職員を派遣し、伐採樹の選定や整備方針について助言をしたり、茅ヶ崎市からは、学校の机の天板を県産材に交換したいと要望があったため、伊勢原市森林組合が県産材の天板を作成している情報を提供したところ、双方の連携が実現したとのことです。
※イメージ写真 伊勢原市森林組合HPから引用
市町村林政支援業務はまだ始まったばかりの事業のため、県が情報提供できることは多いと考えます。林政については、市町村ごとに考えがあることから、市町村のニーズに合うものを県として提供していただくよう求めました。
2 水源環境保全・再生への取組みについて
※神奈川県HPちらし
水源環境保全・再生事業会計の当初予算では、自然保護費が約9,700万円の増額となっており、その内訳を確認したところ、鹿の調査が約1,000万円、気象観測システムの基本設計費が約600万円のほか、登山道利用の実態把握調査が約3,000万円、秦野市の環境配慮型トイレの設置が約5,000万円の増額とのことでした。
環境配慮型トイレは、一般的なトイレのような浄化槽や汲み取り式の処理ではなく、土壌処理方式といわれる、土壌粒子による吸着と濾過作用、微生物の分解により循環利用が可能なトイレですが、その分トイレ本体が高額なことと、山に設置するため資材の運搬にヘリコプターを使用したり、ほぼ人力で実施しなければならないなどの理由から、高額な予算計上となっています。
※自然環境保全センターHP「丹沢発 山のトイレを考えようプロジェクト」より引用
また、「相模川水系上流域対策の推進」として当初予算に計上されている「森林整備共同事業費」と「生活排水対策共同事業費」に関して質疑したところ、この事業は、本県の主要水道水源である相模川の山梨県内の領域における森林整備と生活排水対策について、山梨県と事業費の1/2ずつを負担し、国からの補助金も活用しながら実施しているもので、森林整備のほか、生活排水対策として山梨県にリンの除去装置を設置し、神奈川県では汚泥処分費などの維持管理費を負担し、山梨県は人件費と電気代を負担しながら取り組んでいるとのことです。
ダム水源を多く含む山梨県の森林を整備することは、水源を確保する意味で重要ですが、予算額は約2,000万円となっており、今より加速する必要はないのか質疑したところ、平成24年度から28年度までで1,000haを超えて整備しており、平成29年度から令和3年度までに728haを整備する予定ですが、平成29年度、平成30年度で311haを終え、進捗率42%と概ね順調であることに加え、山梨県の超過税額が2.7億円と少額であることや、山梨県内には他にも整備しなければならない森林もあることなどから、今の目標達成を第一に取り組んでいるとの答弁でした。
事業は順調に進捗しているようですが、森林整備などの水源環境の保全・再生の取組みはどのくらい進んでいるかなかなかわかりにくいのが現状です。
うまく情報を出しながら、着実な事業執行を求めました。
3 登山道整備及びヤマビル対策について
昨年の台風19号の影響により、県内の登山道が各地で被害を受け、県で把握している被害について質疑したところ、補正予算を活用して一部は復旧が完了していますが、引き続き早期復旧に取り組むとのことでした。
※県道70号の現地確認のようす
また、昨年9月に「丹沢大山自然再生における県民との協働について」一般質問をした際に答弁にありました高校生を対象とした普及啓発事業が1月に行われたため、詳細を質疑したところ、1月25日に秦野戸川公園パークセンターにて、「高校生と取り組むレンジャー(巡視)体験」が行われ、神奈川県高等学校体育連盟登山専門部の生徒83名と引率教員15名が参加し、パワーポイントを用いた講義を行ったとの答弁でした。あいにく翌日が悪天候により中止になってしまいましたが、令和2年度以降も引き続き若年層に関心をもっていただく取組みの実施を求めました。
※丹沢大山自然再生委員会HPより引用
さらに、「鳥獣被害対策の推進」としてヤマビル対策が予算計上されているため、補助対象として予定されている市町村や対策の内容について質疑すると、令和2年度に予算要望があった市町村は相模原市、伊勢原市、秦野市、松田町、山北町、清川村の6市町村であり、環境整備や研修会、資器材・駆除剤の購入等の事業費の1/3を支出するとの答弁でした。
ヤマビルの分布は拡大しており、県が情報共有することが大切です。各県政総合センターでは地域の鳥獣対策協議会での情報共有や、ヤマビル生息状況のアンケート調査の結果を報告するとともに、今後も把握や新しい知見の活用につとめるとのことですが、これから春をむかえ登山者も増えることから、アンテナをはりながら、しっかりとした取り組みを求めました。
その他豚熱(CSF)対策におけるワクチン接種について、気候変動対策の推進について、ドローンを活用したスカイパトロールについて質疑しました。
詳細は後日お知らせします。
新型コロナウィルス感染症が拡大しています。
本会議及び委員会の様子は、インターネット議会中継でもご覧いただけます。
また、県では、一人ひとりに合わせた新型コロナ対策をLINEでサポートする取り組みを開始しました。
一日でも早く安心して過ごすことができる状況を、一丸となって実現していきましょう。
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